オフコースのアルバム『I LOVE YOU』は小田和正も鈴木康博も個人主義!

1982年7月1日発売のオフコースのアルバム『I LOVE YOU』を紹介します。前日の6月30日が伝説の日本武道館10日間コンサートの最終日で、5人のオフコースのラストステージでした。その翌日に発売されたアルバムです。当時人気絶頂のオフコースでしたが、鈴木康博が脱退の意思を伝えていたため「鈴木脱退」または「オフコース解散」の選択を迫られる苦しみの時期で、実際に解散に傾いた時期もありました。結局、ぎりぎりのところで踏みとどまり、4人でオフコースを続ける選択をしています。5人のオフコースとしては次作の『NEXT』が最後のアルバムになりますが、これはテレビ番組のサウンドトラックの企画物であるため、純粋なオリジナルアルバムとしては『I LOVE YOU』が5人での最後のアルバムになります。

アルバム『I LOVE YOU』には前作『over』の直後から制作に取り掛かっており、忙しいコンサートツアーと並行して制作されています。小田和正が3曲・鈴木康博が3曲・松尾一彦が2曲を持ち寄り、それに前年のヒット曲『I LOVE YOU』を加えてアルバムに仕上げています。そこには時間を掛けて納得いくまで音作りを行なうこれまでのオフコースの姿はありません。そして小田・鈴木の美しいハーモニーのコーラスを聴くことも本作ではできません。小田・鈴木は自分の曲のバックコーラスは自分で入れており、ソロ曲を集めたような印象のアルバムで、まさに個人主義といったところです。正直、前作までのクオリティはないアルバムですが、でもそこはオフコース。聴きどころは多いです。

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それでは、アルバムの曲を紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 YES-YES-YES(小田和正)

アルバムに先行してシングルで発売された本アルバムの代表曲で、私の大好きな曲です。シングル版とアルバム版で微妙な違いがあります。当初はシングル発売の計画はありませんでしたが、ヒット性のある曲に仕上がったため急遽シングル発売が決まった、まさにオフコースといったサウンドの曲です。「YES-YES-YES」というフレーズがなかなか決まらなかったというエピソードを読んだことがありますが、速く流れるメロディーにとてもマッチしています。アルバム『NEXT』では1982年6月30日の日本武道館コンサート終了後の観客による大合唱が入ったバージョンを聴くことができます。小田さんのコンサートではアンコールでよく歌われており、会場全体で「YES-YES-YES」のフレーズにあわせて人差し指を突き上げて、いつも大いに盛り上がります。

A-2 素敵なあなた(鈴木康博)

オフコースは当初は歌詞に英語を使わない主義でしたが、本曲では「Baby Baby I still love you」とサビに英語を入れて歌っています。オフコースはこの後、活動後期になるほど英語歌詞が増えていきました。脱退を決めた鈴木の「僕は間違ってないよね」の歌詞にはドキリとします。鈴木のセルフカバーアルバム『forWard』にも収められています。

A-3 愛のゆくえ(鈴木康博)

サビのファルセットの歌声が美しい、鈴木の名曲です。「もうやり直せない 二度とは戻れない」とグループを去る心境を歌っています。こちらも鈴木のセルフカバーアルバム『forWard』に収められています。

A-4 哀しき街(松尾一彦)

作詞:小田和正、作曲:松尾一彦の曲です。前作『over』のセッションから録音を開始していた曲で『over』ではボツになりましたが、本作で日の目を見ました。このアルバムの他の曲はヴォーカル担当がバックコーラスも入れていますが、本曲は小田・清水のバックコーラスが印象的な仕上がりになっています。松尾のお気に入りの曲のようで、ソロになってからセルフカバーしています。

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B-1 揺れる心(鈴木康博)

暗い印象の曲で、鈴木のそれまでには無かった作風の曲です。アルバム『NEXT』冒頭のメドレーに含まれています。

B-2 きっと同じ(小田和正)

2分に満たない小田の小作品です。楽器はアコースティックギターだけで、最初は小田自身がギターを弾こうとしましたが、うまく弾けなかったため鈴木が弾いています。小田は鈴木に「やっぱり上手いや」と言ったそうです。

B-3 かかえきれないほどの愛(松尾一彦)

作詞:清水仁・大間仁世(ジロー)・松尾一彦、作曲:松尾一彦の曲で、スタジオ録音アルバムに松尾の曲が複数入るのは初めてです。公園で子供たちが遊ぶ声で始まるやさしい曲です。バックコーラスも松尾自身がつけています。

B-4 決して彼等のようではなく(小田和正)

小田の曲にしては珍しいシャウト系の曲です。「今ならまだ戻れる 今なら間に合う」と鈴木に向けて叫んでいます。後半盛り上がり、最後に爆発して、そのままラスト曲の『I LOVE YOU』に続きます。

B-5 I LOVE YOU(小田和正)

1981年に発売されたシングル盤とは別バージョンで、間奏でジョン・レノンが射殺されたニュースが読まれます。ビートルズの影響を受けた日本の同年代のバンドとしてはチューリップが有名ですが、わざわざ曲の中でジョン・レノンの死に触れていることからオフコースにも多大な影響を与えた存在であったことがうかがえます。小田・鈴木の2人のオフコース時代のコンサートでは洋楽をよく歌っており、ライブアルバム『秋ゆく街で』の洋楽メドレーにはビートルズの『涙の乗車券』『サムシング』『愛こそはすべて』が含まれています。最近も小田さんは自分よりも年上のポール・マッカートニーが70歳をはるか超えてコンサートを行ない続けていることは励みになると話しています。また、ベースの清水仁はオフコース参加前はビートルズのコピーバンドであるザ・バッド・ボーイズの中心メンバでした。清水は『言葉にできない』の演奏をビートルズの『ヘイ・ジュード』のようにやりたかったと話したことがあります。
シングル盤バージョンとのもう1つの大きな違いとしては、シングルの最後は素人の合唱になりますが、アルバム版にそれはありません。最後まで小田さんのきれいな歌声でフェードアウトします。私はシングルの素人の合唱が好きでないのでアルバム版のほうを好んで聴いています。コンサートではまったく違うアレンジで演奏されており、ライブバージョンはアルバム『NEXT』で聴くことができます。シングルバージョンはベストアルバム『SELECTION 1978-81』に収められています。
オフコースの代表曲の1つと言える本当に美しい曲です。

オフコース『I LOVE YOU』をぜひ聴いてみてください!

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