ビートルズ『4人はアイドル』ヘルプ!はジョン・レノンの悲痛な心の叫び

1965年発売のビートルズのアルバム『4人はアイドル』を紹介します。原題は、The BeatlesHELP!』。現在のCDの日本語アルバムタイトルは原題に合わせて『ヘルプ!』に改められています。

A面はビートルズ主演映画『ヘルプ! 4人はアイドル』のサウンドトラック、B面はアルバム用に追加録音された曲です。映画はビートルズ2作目の主演映画で、フルカラーで撮影されました。この時代はまだモノクロが主流だったので、カラーで動くビートルズを見ることができて当時のファンは歓喜だったことでしょう。
アルバムの構成は「レノン=マッカートニー」作品が10曲、ジョージの作品が2曲、カバー曲が2曲です。『ウィズ・ザ・ビートルズ』から久しぶりにジョージの作品がアルバムに入り、本アルバム以降、ジョージのソングライターとしての才能が開花していきます。また、ビートルズのオリジナルアルバムにカバー曲が入るのは本アルバムが最後となり、以降のアルバムはオリジナル曲だけになります。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 ヘルプ!(ジョン・レノン)

本国イギリスでのビートルズ10枚目のシングル曲です。テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』のテーマソングとして使われている、お馴染みの曲です。疾風のように駆け抜ける軽快なメロディーとヴォーカルで、ジョンは本曲を自身のベストナンバーの1つに挙げています。アコースティックギターの音色が印象的なポップなロックンロールですが、ジョンの悲痛な心の叫びのメッセージソングでもあります。後にジョンは「混乱した現実から逃避したい願望をこの作品に託した」と語っており、「とても不安定で完全に自分を見失っていた」とこの時代を振り返っています。ジョンは「本当の真実を歌っているのは『ヘルプ!』と『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』だけだ」とも話しています。

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A-2 ザ・ナイト・ビフォア(ポール・マッカートニー)

ポールのキャッチーなポップスです。ポールのヴォーカルを、ジョンとジョージがバッキングヴォーカルで追いかける、初期のビートルズらしい演奏です。ジョンがエレクトリックピアノを弾いています。

A-3 悲しみはぶっとばせ(ジョン・レノン)

原題は『You’ve Got To Hide Your Love Away』。アコースティックギターを弾きながらのフォークソングで、ジョンの歌い方はボブ・ディランを意識したものになっています。ジョンが言うところの「ディラン時代の曲」で、前作『ビートルズフォーセール』の『アイム・ア・ルーザー』よりも、更に本格的にボブ・ディランに取り組んだ曲という印象です。

A-4 アイ・ニード・ユー(ジョージ・ハリスン)

『ウィズ・ザ・ビートルズ』収録の『ドント・バザー・ミー』以来のジョージの久々のオリジナル作品です。ジョージらしい純朴な歌詞と、愛らしいメロディーです。ジョンとポールがコーラスをつけています。
ジョージの一周忌である2002年11月29日に行われた追悼コンサートで、トム・ ペティ&ザ・ハートブレイカーズが本曲を歌いました。2017年10月2日に66歳の若さでトム・ペティが亡くなったことは残念です。

A-5 アナザー・ガール(ポール・マッカートニー)

曲の途中から突然始まったような印象を持つ変わった曲です。本曲でポールはベースの他にリードギターも担当しましたが、起伏のあるリードギターと平坦なメロディーのコントラストがおもしろいです。
ポールは2015年4月28日の日本武道館コンサートで、本曲を世界で初めてライブ演奏しました。ポールは1966年のビートルズ来日公演以来49年ぶりの日本武道館のステージで、世界が注目した歴史的なイベントでした。

A-6 恋のアドバイス(ジョン・レノン)

原題は『You’re Going To Lose That Girl』。ジョンの陽気なポップスで、ポールとジョージがバッキングヴォーカルで追いかけます。映画ではスタジオでのレコーディングのシーンに使われた曲で、4人が本当にカッコよく演奏していました。日本ではシングル発売もされました。

A-7 涙の乗車券(ジョン・レノン)

原題は『Ticket To Ride』。本国イギリスでのビートルズ9枚目のシングル曲です。ジョンの気持ちの良いリードヴォーカルに、ポールがハモります。ジョンは本曲を「ヘヴィメタルのさきがけ」と表現しており、それまでのどのビートルズ作品よりも進歩的な曲でした。本曲もリードギターはポールが弾いており、リードギター担当というジョージの肩書きが徐々に危うくなっていきます。

B-1 アクト・ナチュラリー(リンゴ・スター)

バック・オーウェンスが1963年に大ヒットさせたカントリーソングをリンゴがカバーしています。当時、新婚のリンゴが自ら選曲しました。大スター志願の男をユーモラスに描いた本曲は、リンゴのとぼけた声にとてもマッチしています。2016年10月30日にNHKホールで行なわれたコンサートでは、リンゴはカウボーイハットを被ってノリノリで本曲を歌ってくれました。

B-2 イッツ・オンリー・ラヴ(ジョン・レノン)

ジョンのバラード曲で、私の大好きな曲です。しかし、ジョンは「歌詞が気に入らない」と語り、「ビートルズ時代の最も嫌いな曲」としています。メロディーは最高だと思うのですが。

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B-3 ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ(ジョージ・ハリスン)

ジョージの作品がアルバムに2曲入るのは初めてです。ミディアムテンポのポップスで、サウンドの中心がピアノであることが新しい試みです。ジョージのソングライターとしての成長を感じる1曲です。

B-4 テル・ミー・ホワット・ユー・シー(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー)

ジョンとポールのツインヴォーカルですが、主にポールが手掛けた楽曲です。ポールはベースの他にエレクトリックピアノも弾いています。単調な曲ですが、パーカッションのアレンジで聴かせています。

B-5 夢の人(ポール・マッカートニー)

原題は『I’ve Just Seen A Face』。ポールがカントリーソングやフォークソングといったトラディショナルな分野に取り組んだ意欲作です。ジョン・ポール・ジョージの3人でアコースティックギターを弾いています。ポールはウイングスのステージで本曲を取り上げており、ライブアルバム『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』に収録されています。また、2015年4月23日の東京ドーム公演でポールは本曲を歌いました。

B-6 イエスタデイ(ポール・マッカートニー)

言わずと知れたポールの名曲です。ポール以外のメンバはレコーディングに参加していません。ポールがアコースティックギターを弾き、弦楽四重奏がバックで奏でられています。ポールは「心から僕の最高傑作だと思う」「どの曲よりも一番自然に書けた曲」「僕が書いた曲の中で最も完全な曲」と語っています。ジョンもポールの最高傑作と認めていました。ポールのコンサートでは必ず歌われており、最近ではアンコールで披露されることが多いです。音楽の教科書にも載っている不朽の名作です。

B-7 ディジー・ミス・リジー(ジョン・レノン)

ラリー・ウィリアムズが1958年にヒットさせたロックンロールの楽曲をジョンが気持ちよくカバーしています。迫力のあるジョンのシャウティングと、ジョージのギタープレイが最高です。ジョンのプラスティックオノバンド名義のライブアルバム『平和の祈りをこめて(Live Peace in Toronto 1969)』にも収録されています。

『ヘルプ!』(4人はアイドル)はおすすめアルバムです。ぜひ聴いてみてください!

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