オフコース『眠れぬ夜』小田和正が代表曲を40年後に再レコーディング

1975年12月20日に発売されたオフコース7枚目のシングル『眠れぬ夜/昨日への手紙』を紹介します。両曲とも同日に発売されたアルバム『ワインの匂い』にも収録されていました。どちらのジャケット写真も新宿御苑で撮影されたものです。

A面 眠れぬ夜

作詞・作曲:小田和正です。
それ以前のオフコースには無かったアップテンポの曲で、最高順位が48位と当時のオフコースとしては売れた曲です。
小田さんは本曲を作ったときのエピソードを次のように披露しています。

「この曲で覚えているのは、歌詞が難航して難航して、いよいよ明日が歌入れって時、事務所に泊まり込んだらギリギリで書けたこと。でもあれだけ難航したのに、書ける時は1時間くらいで書けちゃうんだな」

小田さんが最初に作った時はスローなバラード調のアレンジで、ヤスさん(鈴木康博)は透明な雰囲気であったと話しています。そのアレンジを変更させたのは、当時オフコースのプロデューサーに就任したばかりの武藤敏史でした。武藤はその経緯を次のように振り返っています。

「それまでのアルバム『僕の贈りもの』と『この道をゆけば』に足りなかったものは何か。それはオフコースの場合、無条件に理屈抜きに誰もが楽しめるような曲や、シンプルな曲が少なすぎたのではないだろうかと僕は判断したわけである。そして『眠れぬ夜』をあのような曲調にしてしまったのだが、作者の小田君にとっては当時それがかなり不満だったらしい。だからどちらかというと僕が強引に自分の意見を押し通してしまったといえるかもしれないが、もちろん彼らも最終的には納得してくれて、その後、オフコースのステージになくてはならない曲の一つとして歌い続けられていることは、皆さんご存知の通りである」

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このような経緯で作られた明るくポップな『眠れぬ夜』ですが、小田さんは当時は複雑な心境であったことを次のように発言しています。

「反響が良かったけど、自分としては“ちょっと無理したな”って、そう思ったよ。自分が演じてるような、自分じゃないところのものをやると反響あるんだなって。俺、歌っていても“全然これ、自分じゃない”って思った。でも、『ワインの匂い』の一番の代表曲になっているのがこの曲で、レコード会社は『眠れぬ夜』ってアルバムタイトルにしたがった。俺はそんなわけで、“自分の持ち味じゃない”って気がしたから、“それはちょっと…”って。そういう意味でのレコード会社との軋轢は、いっぱいあったよ。例えば、こうして『眠れぬ夜』が評判になったなら、同じようなところを追っ掛ければ、必ずこの業界、柳の下にどじょうがもう一匹いるんだよ。同じような曲を続けて出すと、同じくらいは売れないけど、6割くらいは売れるんだ。それが分かっているからレコード会社はその線で行きたがる。しかし、アーティストとしてはヒットが出て注目されているからこそ、出してみたい曲がある」

オフコースは『さよなら』の大ヒットの後に『生まれ来る子供たちのために』をシングルリリースして、小田さんのこの言葉を実践しました。

小田さんは『眠れぬ夜』をソロになってからのセルフカバーアルバム『LOOKING BACK』『LOOKING BACK 2』に収録していませんでしたが、2016年4月に発売した3枚組オールタイム・ベストアルバム『あの日 あの時』で遂に『眠れぬ夜』を新規にレコーディングしています。

1975年のオフコースでのリリースから、なんと40年以上の歳月が流れているわけですが、この新録音について小田さんは次のように話しています。

「代表曲と言われるものは入れるべきだと思いつつ、この曲は“LOOKING BACK”もしてなかったので、新たにやってみたんだ。実は何度もやり直して、でもなかなか上手く行かなくて、途中で女性のコ-ラス(松たか子とJUJU)を入れてみたら、そこから上手く行き始めたんだ。もちろんオフコ-スの頃のものには、女性の声は入っていないわけでね」

松たか子とJUJUは『クリスマスの約束』でもお馴染みの小田ファミリーですね。アレンジはアコースティックギターとストリングスとコーラスのシンプルなもので、小田さんは次のように語っています。

「これ、ドラムとベ-スがいない演奏なんだけど、そんな編成だから逆に“当たり前に安定したもの”にはならず、そこが面白かったな」

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『眠れぬ夜』は1980年には西城秀樹がカバーしてヒットしました(最高順位は10位)。アイドルであった西城秀樹のカバーにオフコース自身は肯定的であったのですが、一部のファンには不評でした。しかし、本曲とオフコースの知名度アップに一役買ったのは事実です。当時、小田さんは「出来上がったものを聴いたら、僕に遠慮してか、えらく地味になってました」とコメントしています。

B面 昨日への手紙

作詞・作曲:鈴木康博です。
ヤスさんのやさしいフォークソングです。ヤスさんは本曲を作ったときのことを「だいたいメロディーが出来上がるまでに1日以上はかかるのだが、この曲は1時間あまりで出来た曲」と振り返っています。
しかし、歌詞を作るのに苦労したため、ヤスさんはデビュー曲『群衆の中で』の作詞家、山上路夫に作詞を依頼しました。ところが、出来上がってきた詞は「売れないミュージシャンが、かつての恋人に向かって相変わらず売れていない現状をさびしく語る」というあまりにも“みじめ”な内容だったので、結局はヤスさんが自ら歌詞を書き上げたというエピソードがあります。オフコースが売れていない頃だったので、山上路夫の詞は受け入れられなかったのでしょうね。

ヤスさんはソロになってからも本曲を歌い続けており、1996年発売のセルフカバーアルバム『BeSide』、2008年発売のライブアルバム『Yasuhiro Suzuki Anniversary Live 1970-2008』にも収録されています。

小田さんの『眠れぬ夜』が収録された『あの日 あの時』と、ヤスさんの『昨日への手紙』が収録された『BeSide』はどちらもおすすめのアルバムです。ぜひ聴いてみてください!

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