チューリップ『すべて君たちのせいさ!』ビートルズのカバーアルバム

1976年6月5日に発売されたチューリップのアルバム『ALL BECAUSE OF YOU GUYS(すべて君たちのせいさ!)』を紹介します。


チューリップが敬愛するビートルズをカバーしたアルバムです。ジャケットは漫画雑誌風のお笑い路線でした。「夢と希望あふれる感動のレコード『青年チューリップ』’76初夏号」と思いっきり遊んでいます。

『心の旅』が大ヒットしたのが1973年なので、その3年後のアルバムになります。以下の第一期メンバーでの録音です。

 財津和夫(ヴォーカル、ギター、キーボード)
 姫野達也(ヴォーカル、ギター、キーボード)
 安部俊幸(ギター)
 吉田彰 (ベース)
 上田雅利(ドラムス)

通常は姫野達也のヴォーカル曲もあるのですが、本アルバムは全て財津和夫がリードヴォーカルをとっています。

演奏はビートルズを忠実にコピーしており、ビートルズへのリスペクトを感じます。その一方でチューリップらしさを感じるアルバムで、単なる模倣ではなく、しっかりチューリップの音楽として成立しています。

楽曲の選曲は財津さんの趣味でしょう。プロローグとエピローグを除く全13曲中、ポール・マッカートニーの作品が10曲、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作が2曲、ジョージ・ハリスンの作品が1曲、リンゴ・スターの作品は0曲です。ビートルズはジョン・レノンとポール・マッカートニーの楽曲が同じくらいありますが、本アルバムではジョン・レノンの単独作品を取り上げていません。財津さんのポール好きは有名ですが、ここまで徹底するかという感じで、ずっと思っていました。

しかし最近、ジョン・レノンの作品を取り上げなかった理由について、次の財津さんの発言を目にして、本当の理由がわかりました。
「ジョンの曲は代わりに歌うのが難しい。聴く人の魂が許してくれないのではないかと思った」

ビートルズファンのバッシングが怖かったのですね。

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それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 オール・ビコーズ・オブ・ユー・ガイズ -プロローグ-

アルバムの最初と最後はアルバムタイトルの『ALL BECAUSE OF YOU GUYS』というオリジナル曲です。曲調がビートルズの『BECAUSE』に似ています。

A-2 ウイ・キャン・ワーク・イット・アウト

ビートルズが1965年12月に発売したシングルで、邦題は『恋を抱きしめよう』です。ポール・マッカートニーはコンサートで本曲をよく取り上げています。
チューリップは原曲よりもテンポアップさせていますが、忠実にコピーしています。財津さんのヴォーカルが、ビートルズをチューリップの音楽に塗り替えています。

A-3 ユア・マザー・シュッド・ノウ

ビートルズが1967年に制作したテレビ用映画『マジカル・ミステリー・ツアー』で使用された曲です。映画ではラストでこの曲に合わせて4人が白い服で踊るのが印象的でした。
ビートルズのステレオ盤は最初は左側にヴォーカルを集中させ、間奏後に今度は右側にヴォーカルを集中させますが、チューリップはそこまで合わせて完璧にコピーしています。

A-4 アイ・ニード・ユー

ビートルズの1965年の映画『ヘルプ! 4人はアイドル』で演奏されたジョージ・ハリスンの作品で、本アルバムに選曲された中で唯一のポール・マッカートニー以外の作品です。
チューリップ版では冒頭でエレキシタールの音色が響き、映画で使用されたシタールの音色を思い出させるとともに、シタールそしてインド音楽に傾倒していったジョージ・ハリスンのイメージを一瞬の音色で印象付けさせています。

A-5 アナザー・ガール

ビートルズの1965年の映画『ヘルプ! 4人はアイドル』で演奏されたポール・マッカートニーの作品です。アルバム『4人はアイドル』でも前曲『アイ・ニード・ユー』が4曲目、本曲『アナザー・ガール』が5曲目で、曲の順番が同じになっています。
チューリップは20秒程度、ジングルのように演奏しています。

ちなみにポールは2015年4月28日の日本武道館コンサートで、本曲を世界で初めてライブ演奏しました。ポールは1966年のビートルズ来日公演以来49年ぶりの日本武道館のステージで、世界が注目した歴史的なイベントでした。

A-6 ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア

ビートルズの1966年のアルバム『リボルバー』に収録されていたポール・マッカートニーの優しい曲です。ポールがコンサートで歌うことが多い曲です。
本アルバムでは財津さんも優しい声で歌っています。

A-7 ザ・ナイト・ビフォア

ビートルズの1965年の映画『ヘルプ! 4人はアイドル』で演奏されたポール・マッカートニーの作品です。
アルバム『4人はアイドル』から3曲目の選曲で、財津さんのお気に入りのアルバムなのでしょう。間奏のギターはオリジナルよりもロックしています。

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B-1 ブラック・バード

ビートルズの1968年のアルバム『ザ・ビートルズ』(通称:ホワイトアルバム)に収録されていたポール・マッカートニーの作品です。ポールのコンサートではよく歌われている曲です。
ポールはアコースティックギター1本で歌いますが、チューリップはオリジナルのイメージをそのままにしながらも、バンドの音を重ねて自分らの音楽にしています。

B-2 ウェイト

ビートルズの1965年のアルバム『ラバーソウル』に収録されていた曲で、ジョン・レノンとポール・マッカートニーのツインヴォーカルがカッコいい曲でした。
チューリップ版の財津さんの歌声はジョン・レノンっぽいです。

B-3 フォー・ノー・ワン

ビートルズの1966年のアルバム『リボルバー』に収録されていたポール・マッカートニーの作品で、突然始まり、突然終わるような印象の曲です。
チューリップは間奏のホルンの音色まで完全にコピーしています。

B-4 レディ・マドンナ

ビートルズが1968年3月に発売したシングルで、ポール・マッカートニーの作品です。
チューリップはA面の『アナザー・ガール』同様に、1フレーズだけのジングルのように演奏しています。

1976年にチューリップのメンバー3人(財津和夫、姫野達也、安部俊幸)は、ロンドンのアビイロードスタジオでポール・マッカートニーに会っており、いっしょに『レディ・マドンナ』を演奏しています。このとき、ポールはビートルズでのレコーディング以来の『レディ・マドンナ』の演奏で、ピアノのフレーズを忘れかけていました。その後、ポールはコンサートツアーで『レディ・マドンナ』を演奏するようになったので、チューリップがポールの『レディ・マドンナ』を復活させたとの見方があります。

B-5 マーサ・マイ・ディア

ビートルズの1968年のアルバム『ザ・ビートルズ』(通称:ホワイトアルバム)に収録されていたポール・マッカートニーの作品です。
チューリップはシンセサイザーを使って、バロックスタイルの作品をうまくコピーしています。

B-6 トゥ・オブ・アス

1970年にビートルズが最後にリリースしたアルバム『レットイットビー』に収録されていた曲で、ジョン・レノンとポール・マッカートニーのツインヴォーカルのアコースティックサウンドでした。
チューリップはオリジナルよりもビートを効かせた演奏をしています。

B-7 ヘイ・ジュード

ビートルズが1968年8月に発売したシングルで、ポール・マッカートニーの作品です。ビートルズそしてポール・マッカートニーの代表曲の1つで、ポールのコンサートでは必ず歌われる曲です。
チューリップの演奏は前半は真面目ですが、後半のコーラス部分で「なんだよ、おまえ」が連呼され、アルバムジャケットに通じるバカバカしさが爆発します。

B-8 オール・ビコーズ・オブ・ユー・ガイズ -エピローグ-

アルバムの最後にトップの曲がリプライズされます。
「The music we play is all because of you」とビートルズ4人への感謝のメッセージを歌ってアルバムが終わります。

本アルバムの選曲から、チューリップが影響を受けたのは、特にビートルズ中期以降(1965年以降)であることがわかります。
チューリップ『ALL BECAUSE OF YOU GUYS(すべて君たちのせいさ!)』はおすすめアルバムです。ぜひ聴いてみてください!

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