ジョージ・ハリスン『33 & 1/3』ファンキーな明るいアルバム!

1976年に発売された元ビートルズ、ジョージ・ハリスンのソロアルバム『33 & 1/3』を紹介します。原題は、George HarrisonThirty Three & 1/3』。

アルバムタイトルは、LPレコードの回転数と、ジョージの当時の年齢(アルバム制作時に33歳4ヵ月を迎えた)をかけたものです。ジョージが設立した「ダークホースレーベル」からの記念すべき自身の移籍第1作目のアルバムでした。噛めば噛むほど味が出るスルメのようなアルバムで、何度聴いても飽きが来ない、私が大好きなアルバムです。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 僕のために泣かないで

原題は『Woman Don’t You Cry For Me』。
それまでのジョージ・ハリスンのイメージを一新させるファンキーなサウンドです。チョッパーベースにジョージ得意のスライドギターが乗っかってきてアルバムがスタートします。ビートルズ時代の1968年頃に書かれた曲で、ジョージは次のように発言しています。

「基本的にボトルネックギター(スライドギター)用に書いたんだ。1968年頃、スウェーデンのヨーテボリで書き始めた。デラニー&ボニーとエリック・クラプトンとツアーをしているときのことだよ。デラニーにボトルネックのスライドギターを渡されて、デイヴ・メイスンがレコードで弾いているフレーズを弾いてくれって頼まれたんだ。僕はそれまでスライドギターを弾いたことがなかったので、そのときからボトルネックのスライドギターを弾き始めたということだね。そんなふうにして『Woman Don’t You Cry For Me』は生まれたのさ。デラニーがタイトルを提案したんじゃないかな。『All Things Must Pass』に収録されそうになったけど、実際にアルバムに収録されたのは『Thirty Three & 1/3』のときだね」

スポンサーリンク

A-2 ディア・ワン

『Here Comes The Sun』の流れをくむ美しい曲で、その音色に太陽がイメージされてくる楽曲です。クリシュナ神を信仰するジョージには宗教色が強い曲が多いですが、本アルバムで神に対する歌になっているのは本曲だけです。ジョージは次のように発言しています。

「1976年、『Thirty Three & 1/3』の制作を始める直前、ヴァージン諸島に旅行に行っていたときに歌詞を書いたんだ。僕の人生に大きな影響を与えた『あるヨギの自叙伝』の著者、パラマハンサ・ヨガナンダのために書いた歌詞だよ」

A-3 ビューティフル・ガール

ジョージがオリヴィアに捧げたラヴソングです。前曲に引き続き、本曲も美しいメロディーとアレンジです。ジョージは次のように振り返っています。

「この曲を書き始めたのは1969年だ。ドリス・トロイのレコードを制作していたときで、スティーヴン・スティルスがとてもいい12弦ギターを持っていたんだ。彼は夜のあいだ、僕にそれを貸してくれてね。それでそのギターで曲を書いたわけさ。でも最初の歌詞で行き詰まってしまい、その曲は忘れ去られてしまった。でも1976年に思い出して、歌詞を完成させたんだ。そのとき、それをオリヴィアと結びつけたんだよ」

A-4 ジス・ソング

アルバムに先行してリリースしたシングル曲で、ダークホースレーベルからのジョージの記念すべき第一弾レコードでした。オルガンはビリー・プレストンです。ジョージの『マイ・スウィート・ロード』がアメリカの女性アイドルグループ、シフォンズの『イカした彼(He’s So Fine)』の盗作として裁判になったことのパロディーソングです。ジョージは次のようにコメントしています。

「ニューヨークで『My Sweet Lord』問題の訴訟があったあとに、この曲を書いたんだ。法廷での悪夢のような1週間が終わるところだった。『This Song』は、ちょっとコミカルな息抜きとして、そして僕の中にうっ積し始めていた作曲についてのパラノイアを取り除くために書いたんだ。なぜこういう裁判がしょっちゅう行なわれないのか、いまだにわからないよ。今流れているポピュラー音楽の99%は何か別の曲を彷彿とさせるわけだからさ」

A-5 シー・ユアセルフ

トリッキーなリズムがファンキーな曲です。ビートルズ時代の1967年頃に書かれていた曲で、ポール・マッカートニーのLSDに関する事件をもとに作った曲です。ジョージは次のように発言しています。

「LSDと、ポールとマスコミのやりとりについて直接歌った曲だよ。この曲の大部分は1967年に書かれたんだけど、完成したのはずっとあとだね。この曲も存在をすっかり忘れていた曲のひとつだったね。でも1976年に思い出して、ブリッジまでの歌詞と、第2節と第3節を仕上げ、その年にレコーディングしたんだ」

スポンサーリンク

B-1 イッツ・ホワット・ユー・ヴァリュー

ジョージが休暇を過ごしたヴァージン諸島で生まれた曲です。ビリー・ジョエルの『My Life』に印象が似た曲で、明るいL.A.サウンドといった感じの曲です。歌い出しの「Someone’s driving a 450」の450はメルセデス450SLで、ジョージは次のエピソードを語っています。

「1974年のツアーで、ドラマーのジム・ケルトナーがバンドに参加することになっていたんだけど、土壇場で辞退してしまったんだ。だから僕たちはジムなしでリハーサルを続け、ツアーの1週目に突入した。僕はずっと電話をかけて、彼に来てくれるように頼み続けていたんだ。そしてついに彼はこう言ったのさ。『OK、行くよ。でも金の支払いはいらない…。でも、あの古いフォルクスワーゲンを運転するのは、もううんざりなんだ』 それで僕は『わかった。要するに車が欲しいんだね?』って言ったよ。結局、彼には金でなくメルセデス450SLが支払われたんだ」

B-2 トゥルー・ラヴ

本アルバム唯一のカバー曲です。グレース・ケリー&ビング・クロスビーの歌で知られるコール・ポーターの作品です。
ジョージ得意のスライドギターを大々的にフューチャーしたアレンジで、完全にジョージ・ハリスンの曲に仕上がっています。太陽を感じる明るいアレンジをバックに、ジョージは情感豊かに歌い上げています。

B-3 ピュア・スモーキー

ジョージが敬愛するスモーキー・ロビンソンへのトリビュートソングです。落ち着いた心地の良いアレンジで、聴いていて癒される曲です。ジョージのギターソロも心地良く、本当に癒されます。ジョージは本曲の意味を次のように解説しています。

「僕はずっと前からスモーキー・ロビンソンのファンだった。最もすぐれたソングライターのひとりだと思うよ。彼の作る歌詞もメロディーも最高だし、ライヴも素晴らしい。彼がいかに多くの名曲を書いてきたか、みんな忘れがちだけどね。もし僕が誰かを好きなら、僕は『好きだ』と言いたい。『ああ、あの人たちに好きだと言い忘れてしまった』と思いながら死にたくはないんだ。そういうことを言わんとしているのさ」

B-4 人生の夜明け

原題は『Crackerbox Palace』。
コメディアンのロード・バックリーに捧げた曲です。日本では本アルバムからのセカンドシングルでした。コミカルな軽快なポップスで、私の大好きな曲です。ベストアルバム『ダークホース 1976-1989』にも収録されました。
1975年にジョージはロード・バックリーのマネージャをしていた男に偶然会い、バックリーがロサンゼルスで古いボロボロの家に住んでいて、その家のことを「Crackerbox Palace(クラッカーボックス宮殿)」と呼んでいたのを曲名みたいだとタバコの箱に書き留め、この歌を作りました。

B-5 愛のてだて

原題は『Learning How To Love You』。
本アルバムで一番のメロディアスな曲で、ジョージが優しく歌い上げています。ジョージの本当に美しいアコースティックギターソロも堪能でき、最高です。本曲についてジョージは次のようにコメントしています。

「ハーブ・アルバートのために書いた曲だよ。彼はロサンゼルスのスタジオで新しいアルバムを作っていて、僕に1曲書いてくれないかと頼んできたんだ。彼はルックスがいいし、あまり歌わないけれど、とてもいい声をしているんだ。僕の意見では、バート・バカラックが書いた『This Guy’s in Love』が彼の最高傑作なんだけど、それでそういうムードのあるヴォーカル中心の曲を書こうと思ったんだ。結局、自分でレコーディングすることになったんだけどね」

ジョージ・ハリスン『33 & 1/3』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

スポンサーリンク

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です