ポール・マッカートニー『ラム』リンダとの共作アルバムでジョン・レノンを批判

1971年5月に発売されたポール&リンダ・マッカートニー名義のアルバム『ラム』を紹介します。原題は、Paul & Linda McCartneyRam』。

ポールにとってビートルズ解散後2作目となるアルバムです。ポールは2012年のラム【スーパー・デラックス・エディション】発売に際して次のようにコメントしています。
「これは世界が今とは異なっていた、昔、昔のアルバムです。このアルバムは僕の歴史の一部で、それが生まれたスコットランドの小さな丘にまでさかのぼります。そのアルバムの名は『ラム』です。それは僕がヒッピーとして過ごした日々、そしてその制作における自由な姿勢を思い起こさせます。みなさんに気に入ってもらえるよう祈っています、僕は気に入っていますから!」

ポール&リンダ・マッカートニー名義で発表された唯一のアルバムです。写真家であったリンダは最初は音楽的には素人でした。素人である妻のリンダを音楽活動に引き込んだポールは一部のファンから非難を受けます。しかし、本アルバムでのリンダのコーラスはとても素晴らしいです。そして、そのリンダの声は後のウイングスのサウンドに欠かせないものになります。

また、楽曲的にはこの時期、不仲であったジョン・レノンを批判した曲が多いのも本アルバムの特徴となっています。
それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

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A-1 トゥ・メニー・ピープル

ビートルズ解散前後に不仲であったジョン・レノンを批判した曲でアルバムは始まります。「君はチャンスを掴んでいたのに、それを自分でぶち壊してしまったね。それが君の間違いの始まりさ」という歌詞はジョンを皮肉ったものとして話題になりました。少し調子が外れたようにも聴こえるポールの歌声で始まる元気の良い曲で、リンダのバックコーラスも元気が良いです。アメリカで発売されたシングル『アンクル・アルバート~ハルセイ提督』のB面曲でもありました。

A-2 3本足

原題は『3 Legs』。これもジョン・レノンを批判した曲です。ポールは「君は親友だと思っていた。それなのに君は僕を裏切ってガッカリさせた」と歌っています。カントリーブルース調の曲で、出だしはちょっと奇妙な感じです。リンダがコーラスで頑張っています。

A-3 ラム・オン

ポールがウクレレに乗せて歌うアルバムタイトルソングです。穏やかな曲調ですが、「ぶち壊せ、お前のハートなんかすぐに誰かにくれちまえ」という歌詞はジョン・レノンへの当てつけとされています。
ポールはアルバムにトータル性を持たせるため、タイトル曲を前半と後半の2回登場させる手法を好んでおり、本曲はB面にも登場します。その手法が取られたアルバムとしてビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が有名ですが、ウイングスの『バンド・オン・ザ・ラン』『ヴィーナス・アンド・マース』でもその手法が用いられています。

A-4 ディア・ボーイ

美しいメロディーの曲で、ポールの弾くピアノが印象的です。そして、多重コーラスのハーモニーが素晴らしい曲です。しかし、歌詞のほうは「君は一体何を見つけたのか自分でわかっているの?」「たいへんな女と関わりをもったものだね」と、オノ・ヨーコと行動を共にするジョン・レノンへ向けた痛烈な批判として騒然となりました。

A-5 アンクル・アルバート~ハルセイ提督

原題は『Uncle Albert/Admiral Halsey』。ポールが得意とする別々の2曲をくっつけて1曲にした作品です。ドリーミーな導入部から次第に盛り上がり、躍動的な後半へ移行する傑作メドレーで、私が大好きな曲です。アメリカでシングルカットされ、ソロとして初の全米1位を獲得しています。

A-6 スマイル・アウェイ

ポールのカウントで始まるハードなロックンロールナンバーです。ポールのヴォーカルはソウルフルで、重量感あふれるナンバーです。当時は何かとマスコミから非難されたポールですが、「Smile away(笑い飛ばせ)」と自分に言い聞かせるように歌っています。日本のみのシングル『出ておいでよ、お嬢さん』のB面曲でもありました。

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B-1 故郷のこころ

原題は『Heart of the Country』。ポールらしい、のどかなメロディーラインの曲です。自身の田舎暮らしを歌った曲で、自然への回帰を促しています。イギリスのみのシングル『バック・シート』のB面曲でもありました。

B-2 モンクベリー・ムーン・デライト

ポールの絶叫が耳に響く、ハードなロックチューンの曲です。意味不明の支離滅裂な歌詞で「モンクベリー・ムーン・デライトを吸っていたんだ」は麻薬を連想させます。ポールの不良の側面が出た曲ですが、コーラスにはリンダの他に長女のヘザーが参加しています。

B-3 出ておいでよ、お嬢さん

原題は『Eat at Home』。ポールらしいキャッチ―なメロディーの軽快なポップスで、ポールのヴォーカルはエルヴィス・プレスリー風です。日本では『アナザー・デイ』に続くソロシングル第2作目として発売されヒットしました。

B-4 ロング・ヘアード・レディ

ポールがリンダに捧げた曲で、リンダに対する熱烈な愛情表現が綴られた曲です。リンダはポールと出会った頃からロングヘアーでした。ポールの歌い出しの後、すぐにリンダのソロパートとなり、他の曲とは異なってリンダが重要なヴォーカルパートを担っています。

B-5 ラム・オン

A面にあった同曲のリプライズです。ここでもポールは「ぶち壊せ、お前のハートなんかすぐに誰かにくれちまえ」とジョン・レノンへの当てつけを歌います。そして、メロディーが変わって続けて歌われるのは、のちのウイングスのアルバム『レッド・ローズ・スピードウェイ』のオープニング曲となる『ビッグ・バーン・ベッド』です。『ビッグ・バーン・ベッド』のメロディーに乗せてポールが歌う「あの曲がり角から来るのは誰だい?」はオノ・ヨーコを意味するものと解釈されています。

B-6 バック・シート

原題は『The Back Seat of My Car』。アルバムはスケールの大きな美しいバラード曲で締めくくられますが、歌詞はカーセックスを連想させる際どいものです。イギリスでのみシングルカットされています。

ポール&リンダ・マッカートニー『ラム』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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