『ポール・マッカートニー』ビートルズ解散の混乱の中で作ったファーストソロアルバム

1970年に発売されたポール・マッカートニー初のソロアルバム『ポール・マッカートニー』を紹介します。原題は、Paul McCartneyMcCartney』。

1969年9月30日、ビートルズの4人はレコード会社との契約書にサインするために顔を合わせました。その席上でジョン・レノンがビートルズ脱退の意思を突如、明らかにします。そしてビートルズは事実上、解散となりました。ビートルズ解散という事態に直面したポールは精神的に打ちのめされ、スコットランドの自宅農場に引きこもります。その後、妻リンダのおかげで回復したポールは本アルバムの制作に取り掛かりました。

アルバムを完成させたポールはその発売をめぐりマネージメント側と対立します。ビートルズのマネージメント担当であったアラン・クレインはアルバム『レット・イット・ビー』を優先させるため、ポールのアルバム発売を遅らせようとしました。しかしポールは1970年4月10日にビートルズ脱退を表明、本アルバムは4月17日にイギリスで、4月20日にアメリカで発売されました。(アルバム『レット・イット・ビー』はその後の1970年5月8日にイギリスで、5月18日にアメリカで発売されました。)

ソロアルバム発売と合わせてビートルズ脱退宣言を行なったポールについて、ジョンは「ポールはNo.1のPRマンだ」と痛烈に皮肉りました。実際、本アルバムはアメリカで3週連続1位を獲得する大ヒットとなります。この出来事を境にしてジョンとポールは数年間、険悪になります。

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本アルバムは全ての楽器をポール一人が演奏するワンマンレコーディングになっています。ポール以外に参加しているのは妻のリンダ・マッカートニーだけです。本アルバムは「粗さ」や「いい加減さ」が目立つアルバムですが、それはビートルズで『アビイロード』という完璧なアルバムを制作した直後の反動でしょう。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 ラヴリー・リンダ

アコースティックギターに乗せてリンダへ向け愛を歌う小作品です。ポールがリンダとの結婚後、最初に作った曲です。ポールが「自宅で録音した最初の曲。リンダが居間から庭へ歩いていく音が聞こえるだろ」というように、機材のテストを兼ねてレコーディングされています。パーカッションの代わりに本を叩いています。

A-2 きっと何かが待っている

原題は『That Would Be Something』。ロカビリータッチの曲調で、ポールのけだるいヴォーカルはエルヴィス・プレスリーを想起させます。

A-3 バレンタイン・デイ

短いインストルメンタル曲です。エレキギターとアコースティックギターだけで構成されており、中途半端な出来の曲です。機材のテストを兼ねて録音された曲と言われています。

A-4 エヴリナイト

翳りのあるアコースティックギターの小作品です。ライヴアルバム『公式海賊盤 Unplugged (The Official Bootleg)』『バック・イン・ザ・U.S.』にも収録されています。

A-5 燃ゆる太陽の如く

原題は『Hot As Sun』。ポールが10代の時に作った曲で、南国を思わせる陽気なインストルメンタル曲です。

A-6 グラシズ

わずか30秒足らずの即興演奏のお遊びです。CD化の際に前曲『燃ゆる太陽の如く』とメドレー扱いになり1曲に統合されました。

A-7 ジャンク

マイナー調のアコースティックバラードで、ポールらしいメロディーラインの名曲です。1968年に作られた曲で『ホワイトアルバム』のデモテイクで録音されており、その音源は『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されています。ライヴアルバム『公式海賊盤 Unplugged (The Official Bootleg)』にも収録されています。

A-8 男はとっても寂しいもの

原題は『Man We Was Lonely』。リンダがハーモニーで加わっており、ポールは「僕らの初めてのデュエットナンバー」と発言しています。ビートルズ解散の真っただ中にいたポールの偽らざる心境を歌っているとして大きな話題になった曲です。

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B-1 ウー・ユー

単調なギターのリフに乗って展開されるブルージーな曲です。最初のレコーディングではインストルメンタル曲でしたが、後で歌をつけています。

B-2 ママ・ミス・アメリカ

ポール得意の、別々の2曲をくっつけてメドレー仕立ての1曲にしたインストルメンタル作品です。ピアノ、ドラムス、ギターのまとまりのある演奏になっています。

B-3 テディ・ボーイ

元々はビートルズの楽曲として作れらたフォーク調の曲です。ゲットバックセッションで演奏されており、その音源は『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されています。テッドという少年の物語にポール自身が重なります。

B-4 シンガロング・ジャンク

A面の『ジャンク』のインストルメンタル編です。哀愁漂う美しいメロディーをアコースティックギターとピアノが奏でます。

B-5 恋することのもどかしさ

原題は『Maybe I’m Amazed』。リンダへ捧げられた、ポールの名曲中の名曲で、私の大大大好きな曲です。ポールは「アルバムで一番成功した曲。シングルカットすべきだった」と発言しています。その後、1976年リリースのライヴアルバム『ウイングス U.S.A.ライヴ(Wings Over America)』に収録され、このときのアレンジと演奏が素晴らしく、ウイングス15枚目のシングルとしてシングルカットされました。このときの邦題は『ハートのささやき』で、1つの楽曲に2つの邦題が与えられた曲です。

B-6 クリーン・アクロア

ブラジルのインディオに捧げられたインストルメンタル曲です。パーカッションをメインとする実験的な曲で、リンダが呼吸音を担当しています。

『ポール・マッカートニー』を聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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