ジョン・レノン『ヌートピア宣言』内省的な落ち着いたアルバム

1973年11月に発売されたジョン・レノンのアルバム『ヌートピア宣言』を紹介します。原題は、John LennonMind Games』。

1973年4月2日、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻は記者会見を開き、前日の4月1日(エイプリルフール)に新国家「ヌートピア」を建国したことを発表しました。

ヌートピアはその国民になることを望む人々によって構成される概念上の国家で、本アルバムにはその国歌樹立宣言が記載されていました。

本アルバムは前作『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』の超攻撃的な姿勢は鳴りを潜め、落ち着いたトーンのアルバムになっています。歌詞も内省的なものが多く、ジョンのアルバムの中では地味な印象のアルバムですが、1曲1曲は佳作が多いです。音楽評論家からは辛辣な批評もあったアルバムですが、ジョンのヴォーカルは力強く、参加ミュージシャンの演奏も素晴らしい、安定感のあるアルバムになっています。

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それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 マインド・ゲームス

本アルバムからの唯一のシングル曲で、私が選ぶジョンの名曲ベスト5に入る曲です。壮大かつ繊細な曲で、ジョンは本曲について次のように発言しています。

「ああ、あれはいいよ。とにかく楽しく作った曲でね。声はステレオで入っているし、オーケストラみたいに聴こえるけど、あれは僕一人がスライドギターを使って三つの音を出しているだけなんだ」

元々は『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』という別の歌詞が付けられていた曲で、ジョンはそのことについても発言しています。

「この曲はもともと『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』と呼ばれていた。でも、今じゃもう口のできないほどの陳腐な言葉になってしまった。だから僕は同じ意味のメッセージを別の表現で書いたんだ。マインドゲームス、マインドゲリラってね。『イマジン』なんかとも同じだよ」

1970年頃の『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』のデモ録音が『ジョン・レノン・アンソロジー』に収録されています。ジョンの発言は続きます。

「これはいい演奏さ。いつ聴いてもこのサウンドはいいな。僕たちが60年代にずっと言い続けてきたこと~ラヴ&ピースをその言葉を使わないで表現しただけのことだ。ラヴ&ピースなんてジョークになっちゃったものね」

A-2 タイト・A$

ファンキーで軽快な曲で、歌詞はスラングが多用されています。ジョンの楽曲の中では駄作の部類に入るかな、が個人的感想です。

A-3 あいすません

日本語のタイトルが付けられた曲で「あいすみません」なのに「あいすません(AISUMASEN)」となっているのが可笑しいです。日本語で「あいすみません、ヨーコ」と歌われるヨーコへのラヴソングです。

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A-4 ワン・デイ

美しいメロディーのバラード曲です。ジョンはファルセットで歌っています。ビートルズ最後のアルバム『アビイロード』に収録されていた『ビコーズ』に似たイメージの曲です。

A-5 ブリング・オン・ザ・ルーシー

リズミカルで爽快な曲で、女性コーラスをバックにジョンは力強く歌っています。「すべての人々を自由にして希望をもたらせ」「殺人を今すぐ止めろ」と歌われるメッセージソングです。

A-6 ヌートピア国際賛歌

原題は『Nutopian International Anthem』。無音状態が6秒間続くだけの前衛音楽?です。その間に想像した好きな歌がヌートピア国歌になるという趣向でした。

B-1 インテューイション

インテューイションは直訳すると「直感」で、ジョンは「直感が希望の地へと運んでくれる。直感は裏切るはずがない」と歌っています。直感で生きてきたジョンらしい曲で、メロディーもキャッチ―です。

B-2 アウト・ザ・ブルー

ヨーコとの出会いを感慨深く振り返り、ヨーコへの感謝を綴った曲です。とても美しいメロディーの曲で、演奏もダイナミックです。本アルバムの中で『マインド・ゲームス』と並ぶ名曲です。

B-3 オンリー・ピープル

「人と話し合えるのは、やっぱり同じ人だけさ」とヒューマニティーの重要性を歌ったメッセージソングです。楽し気なメロディーに乗せて、ジョンは躍動的に歌っています。

B-4 アイ・ノウ

内省的な歌詞の曲で、歌い出しは落ち着いていますが、サビからジョンらしさが爆発します。ヨーコへのひたむきな愛を歌うジョンのラヴソングです。

B-5 ユー・アー・ヒア

「リバプールから東京まで、それは長い道のり」という歌い出しで始まるジョンとヨーコの奇跡の出会いと運命を歌った曲です。トロピカルな雰囲気のあるメロディーに乗せて、ジョンはゆったりとしたヴォーカルを聴かせています。

B-6 ミート・シティ

アルバムの最後はビートルズを彷彿とさせるワイルドなロックンロールで締めくくられます。ジョンはエネルギッシュにシャウトしており、その歌いまわしには余裕が感じられます。シングル『マインド・ゲームス』のB面曲でもありました。

ジョン・レノン『ヌートピア宣言』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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