1969年12月12日に発売されたジョン・レノン率いるプラスティック・オノ・バンドのライヴアルバム『平和の祈りをこめて』を紹介します。原題は『Live Peace in Toronto 1969』。日本でのリリースは1970年2月5日でした。
1969年9月13日にカナダのトロントで開かれた「ロックンロール・リバイバルショー」に出演したプラスティック・オノ・バンドのライヴアルバムです。プラスティック・オノ・バンドとしての初のステージで、このバンドはジョンとヨーコ以外は常にメンバーが入れ替わりますが、この日は以下の最強の布陣でした。
ジョン・レノン(ヴォーカル、ギター)
オノ・ヨーコ(ヴォーカル)
エリック・クラプトン(ギター)
クラウス・ブーアマン(ベース)
アラン・ホワイト(ドラムス)
ジョンがこのコンサートへの出演を決めたのは、なんとコンサート前日でした。当時はまだセミプロだったアラン・ホワイトはジョンからの電話での誘いに半信半疑のまま空港へ向かいましたが、そこにはジョン本人とエリック・クラプトンが待っていたと振り返っています。とにかく出演までの時間が無かったため、リハーサルは飛行機の中で行なわれ、アラン・ホワイトはドラムスのスティックで座席の背もたれを叩いてのリハーサルでした。ジョン自身もステージで「おなじみの曲をやるよ。いっしょに演奏するのは初めてだから」とMCした、ぶっつけ本番のライヴでした。
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それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)
A-1 ブルー・スウェード・シューズ
1956年にカール・パーキンスが発表した曲で、同年にエルビス・プレスリーも歌っていました。メジャーデビュー前のビートルズでジョンのレパートリーとして演奏されていた曲ですが、ビートルズとしてスタジオレコーディングはされませんでした。ジョンらしい勢いのあるヴォーカルで歌っています。
A-2 マネー
バレット・ストロングが1959年にリリースした楽曲のカバーです。ビートルズ2枚目のオリジナルアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』収録曲で、喉を振り絞り熱唱するドスのきいたジョンのヴォーカルは圧倒的であり、破壊的です。ヨーコはジョンの傍らで白い袋に入るパフォーマンスを行なっていました。
A-3 ディジー・ミス・リジー
ラリー・ウィリアムズが1958年にヒットさせたロックンロールをジョンは気持ちよくカバーしています。迫力のあるジョンのシャウティングは最高です。ビートルズ5枚目のオリジナルアルバム『ヘルプ!』(邦題『4人はアイドル』)に収録されていました。後半にヨーコのノイジーな金切り声が入っています。
A-4 ヤー・ブルース
ビートルズの2枚組アルバム『ザ・ビートルズ』(俗称『ホワイトアルバム』)に収録されていたジョンのオリジナル曲です。ミディアムテンポのヘビーなブルースで、ずっしりと重いギターが鳴り響く、ビートルズ後期に書かれたジョンのヘビーなロックンロールです。1968年12月11日にローリングストーンズが主導して撮影されたスタジオライヴ映像作品『ロックンロールサーカス』にジョンは出演し、そこでも本曲を演奏していますが、そのときのリードギターもエリック・クラプトンでした。
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A-5 冷たい七面鳥(コールド・ターキー)
プラスティック・オノ・バンド2枚目のシングル曲ですが、このライヴの時点では未発表曲でした。ジョンは「うまくできるといいけど」と言って歌い始めます。シングルのアレンジとは違い、ヨーコお得意のノイジーな叫びがフューチャーされています。
A-6 平和を我等に
原題は『Give Peace A Chance』。1969年7月に発売されたプラスティック・オノ・バンドのデビューシングルで、ラヴ&ピースを標榜したジョンの代表曲の1つです。本曲のジョンの歌い方はラップの走りと言われています。盟友ポール・マッカートニーが自身のコンサートで何度も取り上げたことがあるジョンの代名詞的な曲で、リンゴ・スターも最近の自身のコンサートでのラストの曲として毎回取り上げています。
B-1 京子ちゃん心配しないで(ドント・ウォリー・キョーコ)
B面はヨーコのステージになります。『冷たい七面鳥(コールド・ターキー)』のB面曲で、ヨーコと前夫との間の子供である京子に向けてヨーコが叫びます。
B-2 ジョン・ジョン(平和の願いを)
ヨーコがジョンの名を叫んで平和を訴えます。バンドはフィードバックやノイジーな音を出し続けます。最後はアンプにギターを立てかけてハウリングを起こしたままメンバーはステージを去りました。ビートルズファンは度肝を抜かれたアバンギャルドミュージックでした。
ジョン・レノン&オノ・ヨーコ/ザ・プラスティック・オノ・バンドの『平和の祈りをこめて(ライヴ・ピース・イン・トロント1969)』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!
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