ジョン・レノン『平和の祈りをこめて』ぶっつけ本番の初ライヴアルバム

1969年12月12日に発売されたジョン・レノン率いるプラスティック・オノ・バンドのライヴアルバム『平和の祈りをこめて』を紹介します。原題は『Live Peace in Toronto 1969』。日本でのリリースは1970年2月5日でした。

1969年9月13日にカナダのトロントで開かれた「ロックンロール・リバイバルショー」に出演したプラスティック・オノ・バンドのライヴアルバムです。プラスティック・オノ・バンドとしての初のステージで、このバンドはジョンとヨーコ以外は常にメンバーが入れ替わりますが、この日は以下の最強の布陣でした。

 ジョン・レノン(ヴォーカル、ギター)
 オノ・ヨーコ(ヴォーカル)
 エリック・クラプトン(ギター)
 クラウス・ブーアマン(ベース)
 アラン・ホワイト(ドラムス)

ジョンがこのコンサートへの出演を決めたのは、なんとコンサート前日でした。当時はまだセミプロだったアラン・ホワイトはジョンからの電話での誘いに半信半疑のまま空港へ向かいましたが、そこにはジョン本人とエリック・クラプトンが待っていたと振り返っています。とにかく出演までの時間が無かったため、リハーサルは飛行機の中で行なわれ、アラン・ホワイトはドラムスのスティックで座席の背もたれを叩いてのリハーサルでした。ジョン自身もステージで「おなじみの曲をやるよ。いっしょに演奏するのは初めてだから」とMCした、ぶっつけ本番のライヴでした。

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それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 ブルー・スウェード・シューズ

1956年にカール・パーキンスが発表した曲で、同年にエルビス・プレスリーも歌っていました。メジャーデビュー前のビートルズでジョンのレパートリーとして演奏されていた曲ですが、ビートルズとしてスタジオレコーディングはされませんでした。ジョンらしい勢いのあるヴォーカルで歌っています。

A-2 マネー

バレット・ストロングが1959年にリリースした楽曲のカバーです。ビートルズ2枚目のオリジナルアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』収録曲で、喉を振り絞り熱唱するドスのきいたジョンのヴォーカルは圧倒的であり、破壊的です。ヨーコはジョンの傍らで白い袋に入るパフォーマンスを行なっていました。

A-3 ディジー・ミス・リジー

ラリー・ウィリアムズが1958年にヒットさせたロックンロールをジョンは気持ちよくカバーしています。迫力のあるジョンのシャウティングは最高です。ビートルズ5枚目のオリジナルアルバム『ヘルプ!』(邦題『4人はアイドル』)に収録されていました。後半にヨーコのノイジーな金切り声が入っています。

A-4 ヤー・ブルース

ビートルズの2枚組アルバム『ザ・ビートルズ』(俗称『ホワイトアルバム』)に収録されていたジョンのオリジナル曲です。ミディアムテンポのヘビーなブルースで、ずっしりと重いギターが鳴り響く、ビートルズ後期に書かれたジョンのヘビーなロックンロールです。1968年12月11日にローリングストーンズが主導して撮影されたスタジオライヴ映像作品『ロックンロールサーカス』にジョンは出演し、そこでも本曲を演奏していますが、そのときのリードギターもエリック・クラプトンでした。

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A-5 冷たい七面鳥(コールド・ターキー)

プラスティック・オノ・バンド2枚目のシングル曲ですが、このライヴの時点では未発表曲でした。ジョンは「うまくできるといいけど」と言って歌い始めます。シングルのアレンジとは違い、ヨーコお得意のノイジーな叫びがフューチャーされています。

A-6 平和を我等に

原題は『Give Peace A Chance』。1969年7月に発売されたプラスティック・オノ・バンドのデビューシングルで、ラヴ&ピースを標榜したジョンの代表曲の1つです。本曲のジョンの歌い方はラップの走りと言われています。盟友ポール・マッカートニーが自身のコンサートで何度も取り上げたことがあるジョンの代名詞的な曲で、リンゴ・スターも最近の自身のコンサートでのラストの曲として毎回取り上げています。

B-1 京子ちゃん心配しないで(ドント・ウォリー・キョーコ)

B面はヨーコのステージになります。『冷たい七面鳥(コールド・ターキー)』のB面曲で、ヨーコと前夫との間の子供である京子に向けてヨーコが叫びます。

B-2 ジョン・ジョン(平和の願いを)

ヨーコがジョンの名を叫んで平和を訴えます。バンドはフィードバックやノイジーな音を出し続けます。最後はアンプにギターを立てかけてハウリングを起こしたままメンバーはステージを去りました。ビートルズファンは度肝を抜かれたアバンギャルドミュージックでした。

ジョン・レノン&オノ・ヨーコ/ザ・プラスティック・オノ・バンドの『平和の祈りをこめて(ライヴ・ピース・イン・トロント1969)』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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ジョン・レノン『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』超攻撃的な問題作

1972年に発売されたジョン・レノンとオノ・ヨーコの共作アルバム『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』を紹介します。原題は『Sometime in New York City』。
スタジオ録音の1枚に、ライヴ録音の1枚がおまけで追加された2枚組アルバムでした。スタジオ録音はジョン、ヨーコ、ジム・ケルトナー(ドラムス)と、エレファンツ・メモリーというバンドの面々による演奏でした。

ジョン・レノンのアルバムの中で最も政治的かつ攻撃的な作品です。ニューヨークを拠点として活動を開始したジョンとヨーコは左翼活動家らと親交を深めますが、ジョンの行動はホワイトハウスの目の上のたんこぶとなり、ジョンの米国滞在ビザ延長申請を却下します。怒ったジョンは当時の政治問題、社会問題を本アルバムにぶつけました。新聞風のアルバムジャケットにはニクソン大統領と毛沢東主席が裸踊りをする写真もある過激さでした。

それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面・C面・D面で紹介します。)

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A-1 女は世界の奴隷か!

原題は『Woman is the Nigger of the World』。ジョンとヨーコの共作で、ヴォーカルはジョンです。日本とアメリカでシングル発売されましたが、アメリカではNiggerが差別用語のため放送禁止曲となっています。サウンドは1950年代風のR&Bで、ジョンは「世界で初めて女性運動について唄った歌」と発言しています。ヨーコと出会ったジョンは自分の中にあった男性優位の意識に気付き、女性に対して謝罪の気持ちを持つようになります。そしてそれはショーンが生まれた後の主夫生活に結びつきます。

A-2 シスターズ・オー・シスターズ

ヨーコの作品で、ヴォーカルもヨーコです。前曲に引き続き、女性解放運動の曲です。ブギウギに乗せて、ヨーコの歌声は可愛らしいです。

A-3 アッティカ・ステート

ジョンとヨーコの共作で、パワフルで攻撃的なヴォーカルを二人で取っています。1971年にニューヨーク州アッティカ刑務所で暴動が起きた際の発砲で43人の死亡者が出た事件を歌った曲で、緊迫感のある演奏になっています。

A-4 ボーン・イン・ア・プリズン

ヨーコの作品です。前曲に引き続き、刑務所がテーマになっています。ゆったりとした曲ですが、「私たちは刑務所で生まれ、刑務所で育てられ、学校という名の刑務所へ送り込まれる」という重いメッセージソングです。ヨーコのヴォーカルに、サビでジョンの声が重なります。

A-5 ニューヨーク・シティ

ジョンの作品で、ヴォーカルもジョンです。ストレートなロックンロールで、本アルバムの中で唯一の爽快感のある作品です。ニューヨークの躍動感とその刺激を受けたジョンの高揚が伝わってくる曲です。

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B-1 血まみれの日曜日

原題は『Sunday Bloody Sunday』。ジョンとヨーコの共作で、1972年1月30日に北アイルランドで市民権行進に参加した非武装市民を英国軍が射殺した「血の日曜日」と呼ばれる事件について歌っています。この事件に怒ったジョンは、北アイルランド紛争問題を全世界に告発するために本曲を書きました。半端ない緊張感が漂う曲でメインヴォーカルはジョンですが、サビはヨーコが歌っています。

B-2 ザ・ラック・オブ・ジ・アイリッシュ

ジョンとヨーコの共作で、この曲もメインヴォーカルはジョン、サビがヨーコの構成です。フォークソング風のやさしいメロディーの曲ですが、歌詞のほうは前曲に引き続きイギリス政府の北アイルランド政策に対する激しい批判となっています。

B-3 ジョン・シンクレア

ジョンの作品で、ジョンがギターの弾き語りで歌う曲です。ジョン・シンクレアとはベトナム戦争の反戦活動家で、マリファナ所持により通常よりも重い懲役10年の実刑を受けた実在の人物です。ジョンはこの曲を1971年12月10日にミシガン州で行なわれたジョン・シンクレア支援コンサートで披露し、その数日後にシンクレアは釈放されています。

B-4 アンジェラ

ジョンとヨーコが共作した美しいメロディーの曲で、二人でヴォーカルを取っています。前曲に引き続き、無実の政治犯を解放せよと呼びかける内容で、黒人の女性活動家アンジェラ・デイビスに対する不当な弾圧を告白した歌です。

B-5 ウィ・アー・オール・ウォーター

アルバム1枚目の最後は2つのものを並べて大した違いはないと歌うヨーコの作品です。その最初が「毛沢東とニクソンは大した違いはない。二人を裸にしてみれば」でジャケット写真につながります。

C-1 冷たい七面鳥(コールド・ターキー)
C-2 京子ちゃん心配しないで(ドント・ウォリー・キョーコ)

おまけの2枚目はライヴアルバムで、C面は1969年12月15日にロンドンで行なわれたユニセフのチャリティーコンサートから2曲です。1曲目はプラスティック・オノ・バンド名義で1969年10月にシングルリリースされたジョンの2枚目のソロシングル『コールド・ターキー』、2曲目はそのB面曲であるヨーコの『ドント・ウォリー・キョーコ』でした。参加メンバーが豪華で、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトン、クラウス・ブーアマンら多数の有名ミュージシャンが参加しています。

D-1 ウェル(ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー)
D-2 ジャムラグ
D-3 スカンバッグ
D-4 オー

D面は1971年6月5日~6日にニューヨークのフィルモア・イーストで行なわれたフランク・ザッパ&マザース・オブ・インヴェンションとのライヴセッションです。ヨーコの金切り声が鳴り響くアバンギャルドミュージックです。

ジョン・レノン&オノ・ヨーコの『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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ジョン・レノン『ヌートピア宣言』内省的な落ち着いたアルバム

1973年11月に発売されたジョン・レノンのアルバム『ヌートピア宣言』を紹介します。原題は、John LennonMind Games』。

1973年4月2日、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻は記者会見を開き、前日の4月1日(エイプリルフール)に新国家「ヌートピア」を建国したことを発表しました。

ヌートピアはその国民になることを望む人々によって構成される概念上の国家で、本アルバムにはその国歌樹立宣言が記載されていました。

本アルバムは前作『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』の超攻撃的な姿勢は鳴りを潜め、落ち着いたトーンのアルバムになっています。歌詞も内省的なものが多く、ジョンのアルバムの中では地味な印象のアルバムですが、1曲1曲は佳作が多いです。音楽評論家からは辛辣な批評もあったアルバムですが、ジョンのヴォーカルは力強く、参加ミュージシャンの演奏も素晴らしい、安定感のあるアルバムになっています。

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それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 マインド・ゲームス

本アルバムからの唯一のシングル曲で、私が選ぶジョンの名曲ベスト5に入る曲です。壮大かつ繊細な曲で、ジョンは本曲について次のように発言しています。

「ああ、あれはいいよ。とにかく楽しく作った曲でね。声はステレオで入っているし、オーケストラみたいに聴こえるけど、あれは僕一人がスライドギターを使って三つの音を出しているだけなんだ」

元々は『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』という別の歌詞が付けられていた曲で、ジョンはそのことについても発言しています。

「この曲はもともと『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』と呼ばれていた。でも、今じゃもう口のできないほどの陳腐な言葉になってしまった。だから僕は同じ意味のメッセージを別の表現で書いたんだ。マインドゲームス、マインドゲリラってね。『イマジン』なんかとも同じだよ」

1970年頃の『メイク・ラヴ・ノット・ウォー』のデモ録音が『ジョン・レノン・アンソロジー』に収録されています。ジョンの発言は続きます。

「これはいい演奏さ。いつ聴いてもこのサウンドはいいな。僕たちが60年代にずっと言い続けてきたこと~ラヴ&ピースをその言葉を使わないで表現しただけのことだ。ラヴ&ピースなんてジョークになっちゃったものね」

A-2 タイト・A$

ファンキーで軽快な曲で、歌詞はスラングが多用されています。ジョンの楽曲の中では駄作の部類に入るかな、が個人的感想です。

A-3 あいすません

日本語のタイトルが付けられた曲で「あいすみません」なのに「あいすません(AISUMASEN)」となっているのが可笑しいです。日本語で「あいすみません、ヨーコ」と歌われるヨーコへのラヴソングです。

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A-4 ワン・デイ

美しいメロディーのバラード曲です。ジョンはファルセットで歌っています。ビートルズ最後のアルバム『アビイロード』に収録されていた『ビコーズ』に似たイメージの曲です。

A-5 ブリング・オン・ザ・ルーシー

リズミカルで爽快な曲で、女性コーラスをバックにジョンは力強く歌っています。「すべての人々を自由にして希望をもたらせ」「殺人を今すぐ止めろ」と歌われるメッセージソングです。

A-6 ヌートピア国際賛歌

原題は『Nutopian International Anthem』。無音状態が6秒間続くだけの前衛音楽?です。その間に想像した好きな歌がヌートピア国歌になるという趣向でした。

B-1 インテューイション

インテューイションは直訳すると「直感」で、ジョンは「直感が希望の地へと運んでくれる。直感は裏切るはずがない」と歌っています。直感で生きてきたジョンらしい曲で、メロディーもキャッチ―です。

B-2 アウト・ザ・ブルー

ヨーコとの出会いを感慨深く振り返り、ヨーコへの感謝を綴った曲です。とても美しいメロディーの曲で、演奏もダイナミックです。本アルバムの中で『マインド・ゲームス』と並ぶ名曲です。

B-3 オンリー・ピープル

「人と話し合えるのは、やっぱり同じ人だけさ」とヒューマニティーの重要性を歌ったメッセージソングです。楽し気なメロディーに乗せて、ジョンは躍動的に歌っています。

B-4 アイ・ノウ

内省的な歌詞の曲で、歌い出しは落ち着いていますが、サビからジョンらしさが爆発します。ヨーコへのひたむきな愛を歌うジョンのラヴソングです。

B-5 ユー・アー・ヒア

「リバプールから東京まで、それは長い道のり」という歌い出しで始まるジョンとヨーコの奇跡の出会いと運命を歌った曲です。トロピカルな雰囲気のあるメロディーに乗せて、ジョンはゆったりとしたヴォーカルを聴かせています。

B-6 ミート・シティ

アルバムの最後はビートルズを彷彿とさせるワイルドなロックンロールで締めくくられます。ジョンはエネルギッシュにシャウトしており、その歌いまわしには余裕が感じられます。シングル『マインド・ゲームス』のB面曲でもありました。

ジョン・レノン『ヌートピア宣言』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

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リンゴ・スター『カントリー・アルバム』カントリー&ウェスタンのみのアルバム!

1970年に発売された元ビートルズ、リンゴ・スターのソロアルバム『カントリー・アルバム』を紹介します。原題は、Ringo StarrBeaucoups of Blues』。

ビートルズ時代からリンゴのカントリー&ウェスタン好きは有名でした。ビートルズのカントリータッチの曲は大体リンゴがヴォーカルを取っています。

 『ハニー・ドント』(カール・パーキンス作)
 『アクト・ナチュラリー』(バック・オーウェンス作)
 『消えた恋』(リンゴが初めて作詞に加わった曲)
 『ドント・パス・ミー・バイ』(リンゴが初めて作詞作曲した曲)

これらの曲はリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのステージでも取り上げられており、リンゴのカントリー好きが伝わってきます。

本アルバムのプロデューサーを務めたのはカントリー界の大御所であるピート・ドレイクです。リンゴとドレイクはジョージ・ハリスンのアルバム『オール・シングス・マスト・パス』のセッションで知り合いました。ドレイクはリンゴに全曲カントリー&ウェスタンのアルバム制作を持ち掛けます。カントリー好きのリンゴは躊躇せずにこの企画に乗りました。
カントリー音楽の中心であるナッシュビルにリンゴは飛びます。そして1970年6月30日と7月1日のわずか2日間でリンゴはヴォーカルを入れています。アルバム全曲がリンゴのために用意された曲で、なんと100曲ほどがドレイクが所有する音楽出版社の作曲家たちから寄せられていたそうです。本アルバムではリンゴはドラムスを演奏しておらず、ヴォーカルに徹しています。

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本アルバムについて「リンゴ好きだが、このアルバムはスルーしてた」「のどかな曲ばかりだとキツイ」といった意見をネットで見ましたが、私は大好きなアルバムです。クセが無いのでバックグラウンドミュージックに最適です。でも、刺激が欲しい人には物足りなさがあるのでしょうね。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 ボークー・オブ・ブルース

シンガーソングライターのバズ・ラビンが作ったワルツです。リンゴの歌声はのどかです。リンゴ初のソロシングルとして、アメリカでは1970年10月5日に、日本では1970年12月21日に発売されています、

A-2 ラヴ・ドント・ラスト・ロング

ギタリストのスタジオミュージシャンであるチャック・ハワードが作った曲です。優しいメロディーですが、歌われている内容は怖いです。

A-3 ファーステスト・グロウイング・ハートエイク・イン・ザ・ウェスト

シンガーソングライターのラリー・キングストンがフレッド・ダイカスと共作した曲です。リンゴはのびのびと歌っています。

A-4 ウィズアウト・ハー

シンガーソングライターでギタリストのソレルズ・ピッカードが作った曲です。フォークソング調の曲をリンゴは丁寧に歌っています。

A-5 ウーマン・オブ・ザ・ナイト

前曲に続き、本曲もソレルズ・ピッカードの作品です。本アルバムの中では一番ポップなメロディーの曲です。はつらつとしたリンゴの歌声が気持ちいいです。

A-6 アイド・ビー・トーキング・オール・ザ・タイム

チャック・ハワードとラリー・キングストンの共作曲で、典型的なカントリーソングです。曲の最後では珍しいリンゴの裏声が聴けます。

B-1 フィフティーン・ダラー・ドゥロウ

ソレルズ・ピッカードが作った曲です。歌詞はバンドで成功を夢見る男の物語です。曲の後半でリンゴのスキャットを聴くことができる曲です。

B-2 ワイン・ウイメン・アンド・ラウド・ハッピー・ソング

ラリー・キングストンが単独で作った曲で、1968年に曲は完成していました。発表の場が無かった曲をリンゴが取り上げた形になっています。

B-3 アイ・ウドゥント・ハヴ・ユー・エニイ・アザー・ウェイ

チャック・ハワードが作ったラヴソングです。リンゴは女性ヴォーカルと甘くデュエットしています。

B-4 ルーザーズ・ラウンジ

ジャズ・オルガンのプレイヤーで作曲家のボビー・ピアスが作った軽快なテンポの曲です。リンゴも軽快に歌っています。

B-5 ウェイティング

チャック・ハワードが作ったバラード曲です。リンゴはとてもムーディーに歌っています。

B-6 サイレント・ホームカミング

ソレルズ・ピッカードが作った曲で、息子が戦争から無言の帰宅となったことを嘆き悲しむ母親の歌です。カントリーロックと呼ぶのが相応しい佳曲でアルバムが締めくくられます。

リンゴ・スター『カントリー・アルバム』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

リンゴ・スター『バッド・ボーイ』コミカルでお洒落なアルバム

1978年に発売された元ビートルズ、リンゴ・スターのソロアルバム『バッド・ボーイ』を紹介します。原題は、Ringo StarrBad Boy』。

ヴィニ・ポンシアをプロデューサーに招いて制作したアルバムです。ヴィニ・ポンシアとリンゴは曲作りの名コンビで、リンゴの過去のアルバムでも多くの曲を共作してきました。

『リンゴ』
 オー・マイ・マイ
 デヴィル・ウーマン

『グッドナイト・ウィーン』
 ウー・ウィー
 オール・バイ・マイセルフ

『リンゴズ・ロートグラビア』
 クライン
 レディ・ゲイ

『ウィングズ~リンゴIV』
 ウィングズ
 ゲイブ・イット・オール・アップ
 アウト・オン・ザ・ストリーツ
 イッツ・ノー・シークレット
 ジプシーズ・イン・フライト
 シンプル・ラヴ・ソング

前作『ウィングズ~リンゴIV』では10曲中6曲がリンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲でした。ビートルズのレノン=マッカートニーのようですね。

本アルバムが志向しているのはAORで、大人向けのお洒落なアルバムになっていますが、リンゴらしいコミカルな曲もあります。アルバムの解説には、クレジットされていないが契約の関係で名前を出せない大物が参加していると記載されていました。それはドクター・ジョンで、第1期リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドにも参加しています。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 フー・ニーズ・ア・ハート

リンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲です。軽快なポップスでアルバムがスタートします。シングルヒットしそうな佳作で、リンゴのヴォーカルも軽やかです。

A-2 バッド・ボーイ

アルバムタイトル曲は「バーッドボイヨイヨイヨイヨイヨイヨイヨイ…」と歌われる、コミカルなおもしろい曲です。リル・アームストロングとエーヴォン・ロングの共作で、オリジナルは1957年のジャイヴ・ボンバーズのヒット曲です。

A-3 口紅のあと

原題は『Lipstick Traces』。本アルバムからの先行シングル曲でした。作者はナオミ・ネヴィルで、1962年にベニー・スペルマン、1965年にオージェイズがヒットさせています。アレンジと女性コーラスがゴージャスな仕上がりになっています。

A-4 ハート・オン・マイ・スリーヴ

スコットランド出身のデュオグループ、ギャラガー&ライル(べニー・ギャラガー、グラハム・ライル)の作品です。彼らは1970年に結成されたロックバンド、マクギネス・フリントのオリジナルメンバーで、さらにその前はアップルレコードのスタッフライターでした。心が温まるようなメロディーの、私の大好きな曲です。リンゴのヴォーカルも優しく、心が穏やかになる曲です。シングル『素敵なトゥナイト』のB面曲でもありました。

A-5 愛はどこへ行ったの

原題は『Where Did Our Love Go』。1964年にアメリカの黒人女性ヴォーカルグループのシュープリームス(最近の表記はスプリームス)が大ヒットさせた曲です。シュープリームスのオリジナルメンバーの1人はダイアナ・ロスです。作者はモータウンの専属ソングライターチームであったエディ・ホーランド・ジュニア、ブライアン・ホーランド、ラモント・ドジャーの3人でした。ノリのよい有名曲を女性コーラスを従えてリンゴは楽し気に歌っています。そして、リンゴのヘタウマ感が妙にマッチしています(笑)。

リンゴとシュープリームスの組み合わせは意外な感じも受けますが、初期のビートルズを振り返ると黒人女性ヴォーカルグループの楽曲を好んでカバーしていました。
 チェインズ(クッキーズ)
 ボーイズ(シュレルズ)
 ベイビー・イッツ・ユー(シュレルズ)
 プリーズ・ミスター・ポストマン(マーヴェレッツ)
 デヴィル・イン・ハー・ハート(ザ・ドネイズ)

B-1 ハード・タイムス

1970年代に活躍したイギリスのシンガーソングライター、ピーター・スケラーンが作った曲です。ファンキータッチのロックナンバーで、本アルバムでは一番ロックしている曲です。

B-2 素敵なトゥナイト

原題は『Tonight』。リンゴが女性コーラスやストリングスをバックに歌うお洒落なバラード曲です。シングルカットもされました。オリジナルは1977年にスモール・フェイセスがリリースしたアルバム『プレイメイツ』に収録されていた曲で、イアン・マグレガンとジョン・ピジョンの共作です。イアン・マグレガンはスモール・フェイセスとフェイセズの元メンバー、キーボードプレーヤーでした。

B-3 モンキー・シー・モンキー・ドゥ

オリジナルはマイケル・フランクスで、1975年にリリースしたアルバム『アート・オブ・ティー』に収録されていました。マイケル・フランクスはAOR界を代表するアーティストの1人です。オリジナルはムーディーな雰囲気ですが、リンゴはロック色の濃いアレンジに仕上げています。

B-4 オールド・タイム・リラヴィン

リンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲で、シングル『口紅のあと』のB面曲でもあります。本アルバムはどの曲もお洒落な感じに統一されていますが、本曲もキーボードの音色が印象的な大人向けのお洒落な楽曲に仕上がっています。

B-5 マン・ライク・ミー

原題は『A Man Like Me』。元スリム・チャンスのメンバー、ルアン・オロクレインが作ったカントリータッチのバラード曲です。アルバム最後の曲をストリングスをバックに歌うリンゴはビートルズ『ホワイトアルバム』の『グッド・ナイト』を彷彿とさせます。雄大なイメージのバラードでアルバムが締めくくられます。

リンゴ・スター『バッド・ボーイ』はおすすめアルバムです。現在は入手困難ですが、輸入レコード店などで探せると思います。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

リンゴ・スター『ウィングズ~リンゴIV』4番目のビートルの4枚目の傑作アルバム!

1977年に発売された元ビートルズ、リンゴ・スターのソロアルバム『ウィングズ~リンゴIV』を紹介します。原題は、Ringo StarrRingo The 4th』。

ビートルズというスーパーグループの中でリンゴは常に4番目、最後の男でした。アルバムタイトルはその4番目の男と、自身4枚目のオリジナルアルバムになることを掛けています。実際には6枚目のオリジナルアルバムなのですが、1970年にリリースした2枚のアルバムは「企画モノ」だったため、リンゴは自らの意志で制作したアルバムの数に入れていません。本作は1973年リリースの『リンゴ』から数えて4枚目のオリジナルアルバムです。

前作『リンゴズ・ロートグラビア』では元ビートルズの3人に楽曲を提供してもらったリンゴですが、本作では元ビートルズからの楽曲提供はありません。プロデューサーにアリフ・マーディンを起用し、話題作りよりも内容で勝負したアルバムになっています。実際、私はとてもお気に入りのアルバムで、リンゴの傑作アルバムの1つに挙げています。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 愛におぼれて

原題は『Drowning In The Sea Of Love』。フィラデルフィア系ソウルの作曲家チーム、ギャンブル&ハフ(ケニー・ギャンブルとレオン・ハフ)が作った曲で、オリジナルは1972年のジョー・サイモンです。アルバムトップを飾るに相応しいインパクトのある曲で、リンゴはソウルフルに熱唱しています。アメリカではシングルでも発売されました。

A-2 タンゴ・オール・ナイト

タンゴのリズムに乗せてリンゴが軽やかに歌う、私の大好きな曲です。スティーヴ・ヘイグとトム・シュウファートの共作曲で、アメリカのロックバンド、ラ・セインのレパートリーでした。

A-3 ウィングズ

リンゴとヴィニ・ポンシアが共作したミディアムテンポのカッコいいロック曲です。リンゴがとても気に入っている曲で、シングル発売された他、2012年のアルバム『リンゴ2012』ではセルフカバーで歌い直しています。リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのステージでも取り上げられていました。

A-4 ゲイブ・イット・オール・アップ

本曲もリンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲です。子供時代の懐かしい風景が浮かんで来るようなメロディーのバラードで、ハーモニカの響きと、ぼくとつとしたリンゴの歌声に感涙します。

A-5 アウト・オン・ザ・ストリーツ

本曲もリンゴとヴィニ・ポンシアの共作で、ディスコ風のサウンドの曲です。女性コーラスとサウンドエフェクトが印象的です。ディスコ音楽が流行していた時代を感じる曲です。

B-1 踊ろよ、一緒に!

原題は『Can She Do It Like She Dances』。スティーヴ・ダボフとゲリー・ロビンソンの共作曲です。ソウルっぽいサウンドの曲をリンゴは味がある歌い方で歌っています。

B-2 スニーキング・サリー

原題は『Sneaking Sally Through The Alley』。女性コーラスが印象的なソウルナンバーで、デイヴィッド・フォスターが演奏に参加しています。ニューオーリンズのR&Bシーンを支えたアラン・トゥーサンが作った楽曲ですが、リンゴはアラン・トゥーサンがお気に入りなのか、アルバム『グッドナイト・ウィーン』でも彼の楽曲『オカペラ』を取り上げていました。

B-3 イッツ・ノー・シークレット

リンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲です。本アルバムに収録されたオリジナルナンバーは全てリンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲で、過去のアルバムから続く、曲作りの名コンビです。優しいメロディー・優しいアレンジの曲で、リンゴの優しさを感じる曲です。

B-4 ジプシーズ・イン・フライト

本曲もリンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲です。リンゴの好きなカントリーっぽい曲調のバラードで、派手な印象の曲が多い本アルバムの中で、一番静かな曲になっています。

B-5 シンプル・ラヴ・ソング

本曲もリンゴとヴィニ・ポンシアの共作曲です。アルバムを締めくくるのに相応しい、明るく気持ちのよいポップスです。デイヴィッド・フォスターがピアノとキーボードを演奏しています。

リンゴ・スター『ウィングズ~リンゴIV』(Ringo The 4th)はおすすめアルバムです。現在は入手困難ですが、輸入レコード店などで探せると思います。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

リンゴ・スター『グッドナイト・ウィーン』ジョン・レノンとエルトンが協力!

1974年に発売されたリンゴ・スターのソロアルバム『グッドナイト・ウィーン』を紹介します。原題は、Ringo StarrGoodnight Vienna』。

同時期にレコーディングされていたジョン・レノンのアルバム『心の壁、愛の橋』に参加していたジョン・レノン、エルトン・ジョン、ハリー・ニルソンらが参加したアルバムです。
アルバムタイトルは故郷リバプールの俗語で「ずらかる」という意味で、正確には「グッドナイト・ヴィエナ」と発音します。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 グッドナイト・ウィーン

ジョン・レノンがリンゴにプレゼントした曲で、イントロのカウントと「オーライ」の掛け声でジョンの声を聴くことができます。前作『リンゴ』でもジョンが提供した『アイム・ザ・グレーテスト』でスタートしており、2作連続でオープニングはジョン・レノンの楽曲となりました。ジョンはピアノを演奏しており、これも前作同様です。気持ちの良いロックンロールで、シングルでも発売されていますが、これは本曲とB面最後のリプライズを繋いで編集したものでした。このシングルバージョンはベストアルバム『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』に収められています。

本曲はジョン自身がヴォーカルを取ったリハーサルテイクが存在しており、1998年に発売されたCD4枚組ボックスセット『ジョン・レノン・アンソロジー』に収録されています。

A-2 オカペラ

ニューオーリンズのR&Bシーンを支えたアラン・トゥーサンが作った楽曲です。リンゴは軽快に、お洒落に歌っています。ドクター・ジョンがエレクトリックピアノで参加しています。

A-3 ウー・ウィー

リンゴとヴィニ・ポンシアが共作したミディアムテンポの曲です。ヴィニ・ポンシアはリンゴと名コンビで、前作『リンゴ』でも『オー・マイ・マイ』『デヴィル・ウーマン』を共作していました。本曲はブラスセクションが印象的な曲です。ドクター・ジョンがピアノを弾いています。

A-4 ハズバンズ・アンド・ワイブス

カントリーシンガー、ソングライターであったロジャー・ミラーが1966年にリリースした楽曲のカバーです。リンゴが好きなカントリーですが、夫婦の間がうまくいかないことについて歌っています。モーリン・コックスとの離婚直前であったリンゴは「夫婦がうまくいかなくなるのは、つまらないプライドのせい」と歌われる本曲をあえて選曲しました。

A-5 スヌーカルー

エルトン・ジョンとバーニー・トーピンの名コンビがリンゴのために作った曲です。エルトン・ジョンらしいメロディーのロックナンバーで、爽やかな曲です。イントロのカウントとピアノはエルトンです。日本とイギリスでシングル発売されました。本曲はベストアルバム『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』にも収録されています。

B-1 オール・バイ・マイセルフ

リンゴとヴィニ・ポンシアが共作したレゲエ調の曲です。楽し気なメロディーにリンゴのヴォーカルがマッチしています。ジョン・レノンがギターで、ドクター・ジョンがピアノで参加しています。

B-2 コール・ミー

リンゴが1人で作った曲です。シンプルなメロディーラインのリンゴらしい曲です。ピアノを弾いているのは、なんとデイヴィッド・フォスターです。

B-3 ノー・ノー・ソング

ホイト・アクストンとデヴィッド・P・ジャクソンが作った、とぼけた感じのカントリータッチの曲です。ニッキー・ホプキンスがエレクトリックピアノで参加しています。明るく楽しい、リンゴの代表曲の1つで、ベストアルバム『想い出を映して』『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』にも収録されています。リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのステージでもよく取り上げられており、1990年のライヴアルバム『Ringo Starr and His All-Starr Band』にも収録されています。

B-4 オンリー・ユー

1955年にプラターズが大ヒットさせた曲のカバーです。リンゴはオリジナルとは違った、ほのぼのとした作品に仕上げています。ジョン・レノンがアコースティックギターを、ビリー・プレストンがピアノを弾いています。イントロのジョンのギターカッティングは『スタンド・バイ・ミー』のそれと似ています。シングル発売もされ、ベストアルバム『想い出を映して』『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』にも収録されています。

ジョンも同じセッションで本曲を歌っており、1998年に発売されたCD4枚組ボックスセット『ジョン・レノン・アンソロジー』に収録されています。

B-5 イージー・フォー・ミー

ハリー・ニルソンがリンゴにプレゼントしたメロディアスな曲です。ストリングスをバックにリンゴが情感豊かに歌い上げています。ニルソン自身も翌年に本曲をレコード化していました。

B-6 グッドナイト・ウィーン(リプライズ)

オープニング曲のリプライズです。オープニング曲を最後にもう一度聴かせるアルバム構成はビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』と同じです。コーラスと拍手でアルバムが締めくくられます。

リンゴ・スター『グッドナイト・ウィーン』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

大崎善生『将棋の子』魂を揺さぶられる将棋ファン必読のノンフィクション

大崎善生が2001年に発表したノンフィクション小説『将棋の子』を紹介します。大崎善生は雑誌『将棋世界』の編集長を10年間務めた経歴のある作家で、妻は女流棋士の高橋和(やまと)です。

プロローグは平成8年3月7日、第18回奨励会三段リーグ最終日の中座真の姿を追います。プロ四段への二つの椅子を目指して戦う三段リーグ、最終日の対局2局を前に中座は4番手につけていました。

堀口一史座 12勝4敗
野月浩貴  12勝4敗
藤内忍   12勝4敗
中座真   11勝5敗
今泉健司  11勝5敗
木村一基  10勝6敗

中座は1局目を勝ち、2局目に臨みます。奨励会には年令制限があるため、26歳の中座は勝っても負けても、これが奨励会最後の対局です。その対局は競争相手である今泉健司との直接対決でしたが、完敗を喫します。中座は何もかも終わったと、悔しさ、申し訳なさ、不安感に苛まれながら帰り支度をしていると、まだ目があると伝えられます。そして、奇跡的に昇段が決まると、運命の悪戯に翻弄された中座は腰砕けになり、膝を抱え、腕の中に顔を埋め、へたりこんでしまいます。私はこのプロローグだけで魂が揺さぶられ胸が熱くなりました。

エピローグで著者は、普通であれば中座は将棋界を去っており、そうなっていれば「中座流8五飛車戦法」は存在していないことを指摘します。三段リーグという過酷なリーグ戦が本来は将棋界に取り込むべきであった才能を流出させてしまっているとしたら悲劇ではないかと。

『将棋の子』は羽生善治、森内俊之、佐藤康光、郷田真隆らが、ものすごい勢いで将棋界を駆け上がり席捲していった時代の裏で、夢破れ奨励会を去っていった者たちの物語です。著者の同郷である成田英二の物語を軸に、日本将棋連盟に勤務していた著者だからこそ知り得たエピソードが満載です。村山聖が奨励会を去る加藤昌彦に「加藤さんは負け犬だ」「僕は加藤さんのような負け犬にはならない」と言って喧嘩になった話。その加藤に「君が四段になれなかったのは、すべて僕の責任だ」と涙を流しながら詫びた師匠の小林健二。

『将棋の子』は将棋ファンに広く読んで欲しいおすすめのノンフィクション小説です。

リンゴ・スター『リンゴズ・ロートグラビア』ビートルズ3人とクラプトンが協力!

1976年に発売された元ビートルズ、リンゴ・スターのソロアルバム『リンゴズ・ロートグラビア』を紹介します。原題は、Ringo StarrRingo’s Rotogravure』。

元ビートルズのジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの3人が楽曲を提供したアルバムで、リンゴとしては相当に気合いの入ったアルバムでした。更にエリック・クラプトンも楽曲を提供、ギター演奏もしており大変豪華なアルバムです。
残念ながら大ヒットとはなりませんでしたが、ビートルズ3人+エリック・クラプトンが楽曲提供しているところだけでもビートルズファンにはチェックしてもらいたいアルバムです。

それでは、アルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 ロックは恋の特効薬

原題は『A Dose Of Rock’n Roll』。アルバムはリンゴのシャウトから始まります。当時人気絶頂だったピーター・フランプトンがギターを弾いており、リンゴの意気込みが伝わってきます。カール・グロスマンが作ったスローなロックンロールナンバーで、シングルでも発売されました。作者のカール・グロスマンはリンゴが設立したレーベルのアーティストでした。本曲はリンゴのお気に入りの曲で、ベストアルバム『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』にも収録されています。

A-2 ヘイ・ベイビー

1962年にブルース・チャンネルの歌で全米1位に輝いたソウルナンバーのカバーです。本アルバムからの第2弾シングルでもありました。こちらもベストアルバム『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』に収録されています。

A-3 ピュア・ゴールド

ポール・マッカートニーがリンゴにプレゼントした曲です。ゆったりとした曲で、バックコーラスでポールとリンダが参加しています。

A-4 クライン

リンゴとヴィ二・ポンシアの共作曲で、リンゴが好きなカントリー調の曲です。シングル『ロックは恋の特効薬』のB面曲でもありました。

A-5 ユー・ドント・ノウ・ミー・アット・オール

やさしいメロディーで、聴いていて気持ちの良い、私の大好きな曲です。作者はデイヴ・ジョーダンです。

B-1 クッキン

ジョン・レノンがリンゴにプレゼントした曲です。ノリのよい曲で、ジョンはピアノを弾いています。これは1980年にジョンが復帰するまでの最後となる公式レコーディングでした。本曲をジョン自身が歌う音源が存在しているので、YouTubeや海賊盤を探してみてください。

B-2 アイ・スティル・ラヴ・ユー

ジョージ・ハリスンがリンゴにプレゼントした曲です。ドラマチックなアレンジの曲で、本曲についてジョージはエリック・クラプトンと結ばれた元妻のパティへの気持ちを歌に託したとしています。尚、ジョージは演奏には参加していません。

B-3 これが歌ってものさ

そのエリック・クラプトンがリンゴにプレゼントした曲です。原題は『This Be Called A Song』。明るく爽やかな印象の曲です。クラプトンはギターも弾いており、説得力のあるサウンドになっています。

B-4 ラス・ブリサス

リンゴが恋人のナンシー・アンドリュースと共作した曲です。明るいレゲエナンバーで、リンゴはマラカスをプレイしています。

B-5 レディ・ゲイ

最後の曲はクリフォード・T・ワードのヒット曲『ゲイ』をもとに、リンゴとヴィ二・ポンシアが作った曲です。リンゴらしい明るいヴォーカルでアルバムが締めくくられます。シングル『ヘイ・ベイビー』のB面曲でもありました。

そして、アルバム最後に『スプーキー・ウィアードネス』と題された「おまけ」が収録されています。

『リンゴズ・ロートグラビア』はおすすめアルバムです。現在は入手困難ですが、輸入レコード店などで探せると思います。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!

ジョン・レノン『イマジン』自宅スタジオで制作したイギリス最後のアルバム

1971年に発売されたジョン・レノンのアルバム『イマジン』を紹介します。原題は、John LennonImagine』。

ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻はイギリスのアスコットに大邸宅を購入し、その自宅にレコーディング・スタジオを作ります。ジョンは「このスタジオこそ、僕の今までの人生の中で、ずっとずっと一番欲しかったものなんだ」と話しました。ジョンはこの自宅スタジオを「アスコット・サウンド・スタジオ」と呼びました。
本アルバムはこの自宅スタジオにジョージ・ハリスンやクラウス・ブーアマンなどの気心の知れたミュージシャンを集め、9日間という短期間で制作したアルバムです。このレコーディング時のスタジオ風景は1988年公開の映画『イマジン』で見ることができます。

ところがジョンは、せっかく作ったレコーディング・スタジオも大邸宅も捨て、1971年9月3日、ヨーコとアメリカに渡ります。以降、ジョンはイギリスに戻ることはありませんでした。本アルバムはジョンがイギリスでレコーディングした最後のアルバムです。

それではアルバムを紹介していきましょう。(オリジナルがレコード盤なので、A面・B面で紹介します。)

A-1 イマジン

アルバムタイトル曲であり、言わずと知れたジョン・レノンの代表曲です。世界各国でチャート1位を獲得した大ヒット曲で、非常に美しいメロディーの曲です。ジョンは曲が出来上がったとき「やっと(ポールの)イエスタデイみたいないい曲ができた」と喜んだそうです。「天国や国や財産なんて無いと思ってごらん」とシンプルな言葉ながら説得力のあるジョンのメッセージは全世界に大きな影響を与えました。ライヴアルバム『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』にも収録されています。

「Imagine(想像しなさい)」と呼びかけで始まる歌詞について、ジョンはヨーコの詩集『グレープフルーツ』から拝借したと語っていました。発表当時は作詞者にヨーコの名はありませんでしたが、2017年6月に本作はヨーコとの共作と認定されています。

A-2 クリップルド・インサイド

懐かしさを感じる軽快なテンポの曲です。ジョージ・ハリスンのドブロ・ギターがいい味を出しています。歌詞は人間のエゴを皮肉ったもので、当時不仲だったポール・マッカートニーへの批判とする解釈もあります。

A-3 ジェラス・ガイ

ジョン・レノンが作った名曲中の名曲です。本当に美しいメロディーで、ジョンのバラード曲特有の頼りなさ、ぎこちなさ、せつなさが最高です。哀愁漂うジョンの口笛も曲想にマッチしています。自分の嫉妬深さ、カッコ悪さを包み隠さず歌ってるジョンは本当に素敵です。

本曲はビートルズ時代に『チャイルド・オブ・ネイチャー』というタイトルでレコーディングされていました。ホワイトアルバムやゲットバックセッションで演奏されましたが、最終的にビートルズとしてのレコード化はされませんでした。ジョンは歌詞とタイトルを変えて本アルバムに収録しました。

A-4 イッツ・ソー・ハード

とにかくしんどいこっちゃという歌です(笑)。サックスの音色が印象的な、ワイルドなブギーナンバーです。ライヴアルバム『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』にも収録されています。

A-5 兵隊にはなりたくない

原題は『I Don’t Want to Be A Soldier』。直接的に反戦を歌ったヘビーな曲で、前曲同様にサックスの音色が印象的な、迫力のある曲です。単純な構造の曲ですが、強い力で曲の中に引き込まれてしまいます。このジョン特有の強引さはビートルズのアルバム『アビイロード』で同じくA面最後の曲であった『アイ・ウォント・ユー』を想起させます。

B-1 真実が欲しい

原題は『Give Me Some Truth』。ジョージ・ハリスンのギターがとても気持ち良く鳴り響く、私の大好きな曲です。切羽詰まったようなスピード感のある曲で、聴いていて本当に気持ちが良くなる曲です。ジョンは本曲に関連して「いつしか僕の周りには流暢な嘘ばかりつく人間が増えていた。僕がビートルズのジョンだからかい?」と発言しています。
タイトルは最近は『Gimme Some Truth』と略語で表記されることが多くなりました。

B-2 オー・マイ・ラヴ

前作『ジョンの魂』の『ラヴ(愛)』の続編ともいうべき、透明感のある美しいバラード曲です。歌詞はヨーコが手伝っており、ジョンとヨーコの共作曲としてクレジットされています。「あなたと初めて出会ったときから僕の目は見えるようになった。世界中のすべてのものが生まれ変わったように見える」という歌詞はヨーコと出会ったジョンの本心でしょう。

B-3 ハウ・ドゥ・ユー・スリープ(眠れるかい?)

当時不仲だったポール・マッカートニーを痛烈に批判した曲で、演奏にはジョージ・ハリスンも参加しています。イントロはサージェントペパーズ風のサウンドエフェクトで「『サージェントペパーズ』はお前にとって驚きだったろうよ」と始まります。「お前の傑作なんざ『イエスタデイ』だけだ。それも消えちまった今となっては『アナザー・デイ』ってわけよ」と止まりません。タイトルの『ハウ・ドゥ・ユー・スリープ(眠れるかい?)』はビートルズ内で使われていたポールをネタにしたジョークで、ポールの目が大き過ぎるので夜ベッドに入っても目がつぶれないというものです。イギリスのテレビ番組に出演した際、ポールは番組MCから「寝るときも目を閉じないって本当なの?」と質問されています(笑)。
ジョンはポールのアルバム『ラム』のジャケット写真を真似した、羊をブタに変えたパロディーのポストカードをアルバムに同封する徹底した攻撃ぶりでした。

B-4 ハウ?

私が大好きな、ゆったりとしたバラードです。控えめに歌い上げるジョンのレコーディングの姿を映画『イマジン』で見ることができます。共同プロデューサーであるフィル・スペクターのセンスを感じる曲です。

B-5 オー・ヨーコ

タイトルが示すとおり、愛するヨーコに捧げたラヴソングです。妻への愛を名前を挙げてここまでストレートに歌ったのはジョンが最初でしょう。それは照れくさいところもあったでしょうが、男として本当にカッコイイことだと思います。軽快な曲で、ビートルズ以来のジョンのハーモニカでアルバムが締めくくられます。

ジョン・レノン『イマジン』はおすすめアルバムです。聴いたことが無い方は、ぜひ聴いてみてください!